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抱っこ紐の落下事故138件|国民生活センター報告の内訳

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国民生活センターが2025年3月19日に公表した報告書では、医療機関ネットワークに寄せられた抱っこひもの事故176件のうち落下が138件。うち骨折・頭蓋内損傷は37件で、4件に1件にあたります。着用中の落下の7割はすり抜けでした。数字の母数と読み方の注意も添えて整理します。

結論

国民生活センターが2025年3月19日に公表した報告書によると、医療機関ネットワークに寄せられた抱っこひもの事故事例176件のうち、落下は138件。そのうち骨折・頭蓋内損傷が37件で、報告書は「4件に1件」と表現しています。
落下の起き方には、はっきりした偏りがあります。着用中の落下95件のうち、7割にあたる67件が「すり抜け」。さらにその67件の52%(35件)は、着用者が前屈みになったり横に身体を傾けたりした場面でした。報告書に載っている事例の一つは、やや前屈みになって両手を洗っていた場面でした。特別な状況ではありません。
この記事は、その内訳を報告書のPDFから数字のまま整理します。装着手順は書きません(製品ごとに違うため)。

この記事でわかること

実体験メモ

先に立場を書きます。2026年10月に第一子(娘)が生まれる予定で、私はまだ子育てをしていません。抱っこ紐は妻の妊娠中に高島屋の売り場で夫婦二人とも試着し、同じ日にエルゴベビー・コニー・アップリカ・ナップナップ・NUNAの実物を見比べて、ベビービョルンのベビーキャリア Harmony を選びました。ただし、試着したのは空の状態の抱っこ紐です。子どもを入れたことは一度もありません。
だからこの記事に、抱いてみた感想、赤ちゃんが入ったときの重さ、すり抜けそうになった経験、前かがみになったときの実感は一切書けません。書けるのは、これから使う側として報告書を読んで、数字がどうなっていたかを確かめた記録だけです。
売り場で試着したとき、私は正直「軽さ」と「見た目」を見ていました。落下事故の統計を読んだのは、そのあとです。順番が逆だったな、といまは思っています。

この記事の情報の扱いについて

本文の数値は、国民生活センター『抱っこひもからの子どもの落下に注意!』(2025年3月19日公表)の報告書PDF(全14ページ)を直接読み取ったものです。あわせて東京都商品等安全対策協議会『抱っこひも等の安全対策』(2014年12月)、抱っこひも安全協議会『2022年度抱っこひもの安全な使用に関する調査』(2023年8月)、消費者庁の注意喚起を参照しています。
この記事では、正しい装着手順を書きません。装着方法は製品ごとに異なり、記事で手順を書くとかえって誤った状態を固定させかねないためです。実際の装着・調整は必ず製品同梱の取扱説明書に従い、迷う場合はメーカー・販売店にご確認ください。お子さまのけがや発育に関する判断は、自己判断せず医師にご相談ください。

まず、176件が「何の数字か」から

数字を読む前に、母数の性質を確認します。ここを飛ばすと、この記事の数字はすべて誤読されます。

報告書が集計した176件は、医療機関ネットワークに寄せられた事故事例です。医療機関ネットワークは消費者庁と国民生活センターの共同事業で、消費生活において生命または身体に被害が生じた事故に遭い、参画医療機関を受診した事故情報を収集する仕組みです(2010年12月運用開始)。参画している医療機関は、国民生活センターが公開している一覧によると令和8年4月現在で28機関。全国のすべての病院ではありません。

含まれるもの含まれないもの
参画医療機関を受診した事故(一覧は令和8年4月現在28機関。参画数は年によって変動する)それ以外の医療機関を受診した事故
2019年度からの5年10カ月間の事例それ以外の期間の事例
抱っこひも使用中の事故自転車に乗車中の事故(明示的に除外)
医療機関にかかる程度のけが受診に至らなかった事故・ヒヤリとした経験

この記事が絶対に書かないこと

「◯%の家庭で落下が起きている」とは書けません。医療機関ネットワークは、受診した事故だけが集まる仕組みです。受診に至らなかった事故は入らず、結果として重い事故に偏る性質があります。ここから言えるのは「医療機関に届いた176件を分析すると、こうなっていた」までです。
あわせて2点、報告書自身の注記があります。①件数は本公表のために特別に精査したものである、②本資料の「抱っこひも」はベビーキャリアを指すが、事故事例の中にはスリングやラップによる事例が含まれている可能性がある。どちらも、数字をそのまま「ベビーキャリアの発生件数」として扱えないことを意味します。

そのうえで、この176件には別の意味での重さがあります。受診した事故が集まっているということは、ここに並んでいるのは実際に子どもがけがをした記録だということです。

176件の内訳|78%が「落下」

まず、危害の内容です。

危害の内容(n=176)件数割合
落下138件78%
転倒28件16%
接触6件4%
その他4件2%

想像しやすいのは着用している大人が転ぶ「転倒」かもしれませんが、件数としては子ども自身が抱っこひもから落ちる「落下」が8割近くです。以降はこの138件を見ていきます。

落下138件のうち37件が骨折・頭蓋内損傷

落下したときのけがの内訳です。

落下による危害の内容(n=138)件数割合
擦過傷・挫傷・打撲傷89件64%
頭蓋内損傷22件16%
骨折15件11%
その他12件9%

骨折15件と頭蓋内損傷22件を合わせると37件。報告書はこれを「4件に1件の割合で骨折や頭蓋内損傷といった重篤なけがに至っている」と表現しています。

この37件には年齢の偏りがあり、1件を除く36件が0歳児でした。図中には「8〜11カ月児では骨折や頭蓋内損傷は0件」との注記もあります。落下138件全体の年齢分布はこうです。

落下による被害者の月年齢(n=138)件数割合
0歳125件91%
1歳11件8%
2歳以上2件1%

そして0歳児125件のうち、生後3カ月以下だけで64件。報告書の図には「3カ月以下の子どもだけで0歳児の半数以上を占める(64件)」と注記されています。

64件の分母に注意

この64件は「0歳児125件のうち」であって、落下138件全体のうちではありません。報告書本文も「被害者の約9割は0歳児であり、そのうち3カ月以下の子どもが半数を占めていました」と書いています。分母を138件と取り違えると、割合が変わってしまいます。

首がすわる前の、いちばん抱っこひもを使いたい時期に、いちばん重いけがが集中している。これが138件から読み取れる輪郭です。

落ちるのは「着用中」か「着脱途中」か

落下事故のタイミング(n=138)件数割合
着用中95件69%
着脱途中43件31%

約7割は、すでに着けて抱っこしている最中に起きています。「着けるとき・外すときが危ない」も間違いではありませんが、それは3割です。そしてこの2つは中身がまったく違います。分けて見ます。

着用中の落下95件|7割は「すり抜け」

ここがこの記事の核です。

着用中の事故の原因(n=95)件数割合
すり抜け67件70%
外れ10件11%
子どもの動き4件4%
不明14件15%

バックルが外れたり壊れたりして落ちる、というイメージを持っていた方は、ここで一度立ち止まる価値があります。「外れ」は10件(11%)です。多いのは、抱っこひもは着いたまま子どもの身体が隙間から抜け落ちる「すり抜け」でした。このすり抜け67件のうち65件が0歳児、さらにその65件のうち3カ月以下が39件で半数以上を占めています。

すり抜け67件の「装着状態」

すり抜け時の装着状態(n=67)件数割合
誤装着28件42%
正しい装着6件9%
不明33件49%

報告書はこれを「分かっているだけでも約4割は、緩めて装着していたなどの誤った装着状態であったと考えられました」とまとめています。不明が33件(半分近く)ある点は、そのまま受け止める必要があります。不明を除いた34件で見れば誤装着28件・正しい装着6件で、大半は誤装着ですが、正しい装着でも6件起きています。

すり抜け67件の「姿勢」

すり抜け時の着用者の姿勢(n=67)件数割合
前屈み等(前屈みや横に身体を傾けた際)35件52%
立位13件19%
おんぶ3件5%
歩行中2件3%
不明14件21%

すり抜けの半数は、着用者が前屈みになったり、横に身体を傾けたりした場面で起きています。

報告書に掲載されている事故事例を1つ引用します。

【事例1】保護者が抱っこひもで子どもを抱っこしていた。やや前屈みになって両手を洗っていたところ、脇の部分からすり抜けて落下した。装着した後にサイズの調整をしておらず、緩いと思っていた。(事故発生年月:2023年10月、0歳3カ月、女児)

手を洗っていた、です。特殊な場面ではありません。落ちたものを拾う、靴を履かせる、洗面台に向かう。そうした日常の動作の延長線上に、この記録があります。

「前かがみを避ければ落ちない」とは書けません

この52%は、すり抜けが起きた67件のうち、そのときの姿勢が前屈み等だった割合です。「前かがみになると52%の確率で落ちる」でも「前かがみを避ければ落ちない」でもありません。立位が13件(19%)あり、歩行中も2件あります。姿勢は要因の一つとして記録されているだけです。
報告書が消費者へのアドバイスとして書いているのは、「抱っこひもを着用した状態で腰を曲げた前屈みの姿勢になることがないよう、手で支えながら膝を曲げてしゃがむようにしましょう」という内容です。理由として、前屈みの姿勢で落下すると頭部を下にした状態になり、頭部を受傷するリスクが非常に高くなると考えられる、と説明されています。
これは「安全になる方法」ではなく「公的機関が呼びかけている行動」です。この記事はそれ以上のことを保証しません。

着脱途中の43件は、別の顔をしている

残りの31%、着脱途中の43件です。原因の並びが変わります。

着脱途中の事故の原因(n=43)件数割合
すり抜け17件39%
子どもの動き5件12%
外れ5件12%
不明16件37%
着脱途中の着用者の姿勢(n=43)件数割合
立位17件39%
おんぶ11件26%
前屈み2件5%
不明13件30%

着用中では3件(5%)だったおんぶが、着脱途中では11件(26%)に増えます。そして姿勢の最多は立位です。着用中の主役だった「前屈み」は、ここでは2件しかありません。

つまり、着用中と着脱途中では、気をつけるべき場面がそもそも違うということになります。報告書の事故事例から1つ引用します。

【事例4】子どもを抱っこひもで抱っこしようと立ち上がった状態で抱え、後方のバンドを止めようとしていた際に、肩ひもがずれて子どもが頭部より落下した。約1週間入院。(事故発生年月:2024年4月、0歳2カ月、男児)

報告書が着脱について挙げているのは、「着脱の際や着用姿勢を変える際は、取扱説明書に従って着用するとともに、可能な限り低い姿勢で行う」「特におんぶなど、子どもの状態が確認しにくい姿勢の場合は、できるだけ周囲の人に協力してもらう」という内容です。

再現テストの側でも、抱っこひもには「先乗せタイプ」と「後乗せタイプ」があるものの、どちらのタイプであっても、着脱途中に不意に子どもが激しく動くなどした場合は落下する危険性があると考えられた、と報告されています。タイプを選べば解決する話ではない、ということです。

なぜ低月齢ほど重くなるのか

報告書には、国立成育医療研究センター 副院長・救急診療部統括部長の植松悟子先生のコメントが掲載されています。以下は176件の集計ではなく、同センター救急外来での受診症例についての記述です。要点だけ引きます。

高さについては、報告書の参考資料でも補足されています。頭部への衝撃と損傷リスクの関係を評価するHIC(頭部傷害リスクの評価基準)を使った説明で、HIC値が1,000に達すると、致命的な頭部損傷が生じる確率が0%ではなくなり、中程度の頭部損傷(頭蓋骨の骨折など)が90%程度の確率で生じるとされています。そのうえで報告書は、産業技術総合研究所の分析(1歳児が床と水平な状態で転落したと想定したシミュレーション)を引きながら、こう書いています。

抱っこひもで抱えられた子どもの頭部が100cmの位置にあるとすると、そこから転落した場合、フローリングにクッションマットを敷いた床であってもHIC値は1,000を超え、屈んだ状態で子どもの頭部が50cmほどの位置にあったとしても、硬いコンクリートではHIC値は1,000に近くなります。

このHICの数値は「シミュレーション」です

ここで示されているのは、1歳児が床と水平な状態(寝かせた状態)で転落したと想定した場合のシミュレーション値であり、実際の落下事故の測定値ではありません。床材の条件も報告書に明記された特定のものです。「クッションマットを敷いても無意味」という意味にも、「50cmなら安全」という意味にも読まないでください。この記事が引用しているのは、高さが下がると衝撃の想定値も下がるという関係が公的資料に示されている、という事実までです。

別の2つの調査が示していること

医療機関に届いた事例だけでは、「使っている人全体のなかでどうなのか」は分かりません。母数の違う調査を2つ並べます。性質が違うので、単純比較はできません。

東京都商品等安全対策協議会(2014年12月報告)

東京都の協議会が抱っこひも等の安全対策をまとめた報告書です。12年前の調査であることを先に断っておきます。

同じ報告書では、産業技術総合研究所でダミー人形を使った事故再現実験も行われています。公表されている記述をそのまま引きます。

肩ひもを適切に調整した場合、全ての抱っこひもで全ての姿勢について転落はなかった。

縦対面抱っこにおいて、肩ひもを緩めた場合に、「前にかがみ片手の先を床につける姿勢」において、抱っこひもの種類によっては転落または転落の危険性が見られた。

この実験結果を「正しく装着すれば安全」と読まないでください

これは2014年に、4社6種類の製品・SG基準に合わせた3種類のダミー人形で行われた実験の結果です。実験室で設定された姿勢の範囲での観察であり、すべての製品・すべての人・すべての場面に一般化できるものではありません。実際、冒頭で見た国民生活センターの集計では、すり抜け67件のうち「正しい装着」だった事例が6件あります。書けるのは、公的な再現実験で「肩ひもの緩み」が転落の危険性に結びつく様子が観察されたところまでです。

抱っこひも安全協議会(2022年度調査・2023年8月報告)

メーカーが参加する業界団体による、使用者アンケートです。

目を引くのは、事故26件の当事者の回答です。

事故26件・使用方法について割合
取扱説明書のとおり装着していた62%
取扱説明書のとおり装着していたが、ベルトの緩み等はあったと思う19%
取扱説明書は関係なく自分なりの方法で装着していた19%

報告書自身が「取扱説明書のとおり装着していた人も約8割。それでも事故は発生する」と書いています。使用時の感覚についても、「日常的に使用しており安全に使用している自信があった」が40%で最多でした。

n=26です。割合として一般化しないでください

この表の分母は26件です。1件が約3.8ポイントに相当します。さらに回答者は各メーカーのSNS・メール・ホームページ経由で募集された1,917人で、安全意識の高い層に偏る可能性を報告書自身が示唆しています。報告書は、ヒヤリハットの割合について「41%が全ユーザーの実体験に近い数値である可能性が高く」とする見方も併記しています。「事故の62%は取扱説明書どおりだった」という一般法則ではありません。それでも記録する価値があると考えたのは、この26件が「自分は正しく使えている」という自己認識と、実際に起きたことのあいだに隙間があることを当事者の回答として示しているからです。

SG基準・海外規格と、表示の話

「SGマークがあれば大丈夫か」という疑問に、報告書が答えている部分を整理します。

表示の調査結果は、購入時の判断材料として実用的です。

区分報告書が確認したこと
SGマークのある商品取扱説明書に装着手順がイラストで記載。2次元コードで映像でも確認できるものがあった
基準に適合している商品適用対象月齢のほか、落下・窒息に関する注意を記載。落下については着脱時の注意や、子どもの頭が下向きにならないよう腰ではなく膝を曲げる旨が記載
海外規格のみに適合する商品注意表示が英語のみで表記されていたものがあった
適合表示がない商品正しい装着方法や注意事項を確認できないものもあった

「SGマークがないから危険」とは書きません

SG基準は任意の基準で、海外規格にのみ適合する製品も流通しています。マークの有無だけで安全性を断定できる資料はありません。報告書が具体的に指摘しているのは、「注意事項を自分が読める形で確認できるかどうか」という差です。見るべきは、マークそのものより、手元に届いた取扱説明書と本体表示が読めるかどうか——これは報告書の記述から言える範囲です。
なお、SG基準の適用範囲は「製品として使える範囲」と同じとは限りません。実例は [ベビービョルン ハーモニーを開封](/babybjorn-harmony-review/) に条件表としてまとめてあります。

公的機関が呼びかけていること(手順ではなく、呼びかけ)

この記事は装着手順を書きません。代わりに、公的機関が公表している呼びかけを並べます

国民生活センター(2025年3月19日)の消費者へのアドバイス

  1. 取扱説明書に従い正しく装着して使用する。着用者が変わったり、同じ着用者でも服装が変わることで装着状態は変わるため、使用の都度調整する
  2. 抱っこひもは子どもの抱っこを補助するための道具。抱っこひもを着用した状態での前屈みはせず、手で支えながら膝を曲げてしゃがむ
  3. 着脱の際や着用姿勢を変える際は、低い姿勢で行う。おんぶなど子どもの状態が確認しにくい姿勢の場合は、できるだけ周囲の人に協力してもらう

東京都が消費者庁・経済産業省・製品安全協会・抱っこひも安全協議会などと連携して作成したリーフレット(平成26年度)の「毎回確認しましょう」のチェックポイント

消費者庁「こども安全メール」Vol.587(2022年4月8日)は、これらに加えて「保護者の身体に顔を強く押し当てられた状態など、気道をふさぐことがないように装着し、子どもが苦しそうでないかこまめに確認しましょう」と、窒息についても呼びかけています。中古品については「リコール対象製品でないことの確認」「取扱説明書も同時に入手し、付属品や消耗品も含めて製品の状態をよく確認」という記述もあります。

国民生活センターの報告書に載った医師のコメントでも、兄弟に使っていた場合や譲り受けた場合は、使用する子どもにあわせたサイズに調整する必要があること、譲渡されたものでは部品や付属品がそろっていないこともあることが指摘されています。抱っこひもによっては安全ベルト台座が付属しており、報告書はこれらを「正しく使用しなかった場合には落下の危険性が高くなる」としています。

ここから先は取扱説明書の領域です

「どこをどれだけ締めるのが正しいか」は製品ごとに違います。報告書は、装着の都度必要になる調整について「多くの商品で肩ベルトの端部を引くことで調整可能な構造を有していましたが、ベルトを引く方向が異なるものもあり、正しく使用するにあたっては取扱説明書を確認する必要がある」と書いています。引く方向すら製品によって違うということです。この記事が手順を書かないのは、そのためです。手元の取扱説明書、メーカー公式(映像での解説がある製品もあります)、購入した販売店をご利用ください。けがが疑われる場合は、自己判断せず医療機関を受診してください。

これから買う人・すでに持っている人ができること

この記事は実態の確認に徹しました。隣接するテーマは別記事に分けています。

私がこれからやるのは、生まれる前に取扱説明書を最後まで読むことです。売り場で試着したときは「二人の体に合うか」を見ていましたが、報告書を読んだあとでは、着ける人が変われば装着状態が変わるというほうが気になっています。使ってみてどうだったかは、生まれてからでないと書けません。

この記事で断定していないこと

まとめ

装着の実務は、必ず手元の取扱説明書へ。選び方から整理したい方は 抱っこ紐の選び方、売り場での確認手順は 抱っこ紐の試着で見る6点 をどうぞ。

出典・ご確認先(2026年8月時点で確認)

※公表資料は更新されます。最新の内容は各公式サイトでご確認ください。安全に関わる条件は、必ず製品同梱の取扱説明書とメーカー公式の記載に従ってください。お子さまのけがや発育に関する判断は、自己判断せず医師にご相談ください。

関連記事:抱っこ紐の選び方抱っこ紐の試着で見る6点ベビービョルン ハーモニーを開封チャイルドシート使用率82.4%。カテゴリ一覧は 子育て・ベビー用品 へ。

よくある質問(FAQ)

抱っこ紐からの落下事故は、どのくらい起きているのですか?

国民生活センターが2025年3月19日に公表した報告書によると、医療機関ネットワークに2019年度からの5年10カ月間で、抱っこひもを使用していた際の子どもの事故事例が176件(自転車乗車中を除く)寄せられ、そのうち落下は138件でした。ただしこれは全国のすべての事故件数ではありません。医療機関ネットワークは、事業に参画している医療機関(令和8年4月現在で28機関)を受診した事故情報だけを集める仕組みで、受診に至らなかった事故は含まれません。「何%の家庭で起きているか」を示す数字ではない点に注意してください。

落下すると、どのくらいのけがになるのですか?

落下138件の危害の内容は、擦過傷・挫傷・打撲傷が89件(64%)、頭蓋内損傷が22件(16%)、骨折が15件(11%)、その他12件(9%)でした。骨折と頭蓋内損傷を合わせた37件について、報告書は「4件に1件の割合で重篤なけがに至っている」としています。この37件のうち1件を除く36件は0歳児で、生後8〜11カ月では骨折・頭蓋内損傷は0件でした。

落下はどんなときに起きているのですか?

落下138件のタイミングは、着用中が95件(69%)、着脱途中が43件(31%)でした。着用中95件の原因は、すり抜けが67件(70%)で最多、次いで外れ10件(11%)、子どもの動き4件(4%)、不明14件(15%)です。さらにすり抜け67件の着用者の姿勢は、前屈みや横に身体を傾けた際が35件(52%)、立位13件(19%)、おんぶ3件(5%)、歩行中2件(3%)、不明14件(21%)でした。

正しく装着していれば落ちないのですか?

そう言い切れる資料はありません。すり抜け67件の装着状態は、誤装着が28件(42%)、正しい装着が6件(9%)、不明が33件(49%)です。不明を除いた34件で見ると誤装着が28件と大半ですが、正しい装着でも6件起きています。東京都商品等安全対策協議会が2014年に行ったダミー人形の再現実験では、肩ひもを適切に調整した場合はすべての抱っこひも・すべての姿勢で転落しなかったとされていますが、これは2014年に6種類の製品で行った実験の結果です。装着方法は製品ごとに異なるため、必ず製品同梱の取扱説明書とメーカー公式の記載に従ってください。

何カ月ごろの子どもが多いのですか?

落下138件の被害者は0歳が125件(91%)、1歳が11件(8%)、2歳以上が2件(1%)でした。0歳児125件のうち、生後3カ月以下だけで64件と半数以上を占めています。報告書に寄せられた医師のコメントでは、落下高さの平均は約95cm、骨折や頭蓋内損傷を負った子どもの平均月齢は1.9カ月で、それらがなかった症例の平均月齢4.3カ月より低いとされています。

SGマークがない抱っこひもは危険なのですか?

そうは言えません。国内の抱っこひもの基準は一般財団法人製品安全協会の「抱っこひものSG基準(CPSA0027)」が唯一ですが、これは任意の基準で、市場には欧州のEN 13209-2や米国のASTM F2236-24といった海外規格にのみ適合する商品もあります。報告書のテストでも12銘柄中8銘柄に規格基準の適合表示がありました。一方で、海外規格のみに適合する商品では注意表示が英語のみのものがあり、適合表示がない商品では正しい装着方法や注意事項を確認できないものもあった、と報告されています。判断材料は「マークの有無」だけではなく、取扱説明書と注意表示を自分で読めるかどうかです。