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新築の引き渡し後の不具合【2026年】公的統計で見る実態と相談先

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住宅リフォーム・紛争処理支援センター『住宅相談統計年報2025』では、新築の「住宅のトラブルに関する相談」8,952件のうち74.6%(6,677件)で実際に不具合が生じていました。最も多いのはひび割れ。統計の中身と、住まいるダイヤルなど公的な相談先を施主目線で整理します。

本ページはアフィリエイトプログラムを利用しています。掲載の料金・条件は調査時点の情報で、変動する場合があります。最新は各公式サイトでご確認ください。

結論

公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センターの『住宅相談統計年報2025』(2025年9月発行・2024年度分)を開くと、新築住宅について寄せられた「住宅のトラブルに関する相談」8,952件のうち74.6%(6,677件)で、実際に不具合が生じていたと書かれています。最も多い事象はひび割れ、次いで雨漏り・性能不足不具合を見つけて相談している人は、あなただけではありません。
ただしこの74.6%は「相談を寄せた人の中の割合」であって、「新築住宅の74.6%に不具合がある」という意味ではありません。ここを取り違えないことが、この記事でいちばん大事な点です。

この記事でわかること

この記事の立ち位置

先に立場を書きます。土地を買って積水ハウスで注文住宅を建て、いまその家に住んでいます。土地探しから資金計画、引き渡しまで施主として一通り通過しました。ただし——わが家では、雨漏りやひび割れといった不具合には遭っていません。補修してもらった経験も、事業者と揉めた経験もありません。だからこの記事に「うちはこうやって直してもらった」という話は一行も書けません
書けるのは、引き渡しを経験した一施主として、公表されている統計を自分でPDFと資料編のExcelから開いて読み、公的な相談窓口の条件を公式サイトで確認した内容だけです。むしろ遭っていないからこそ、もし出たときにどこへ行けばいいのかを先に調べておきたかった——それがこの記事を書いた理由です。

この記事がしていないこと

この記事は統計と制度の紹介であり、個別の症状が施工不良にあたるかどうかの判断はしていません。ひび割れひとつとっても、構造に影響しないものから調査が必要なものまであります。瑕疵担保責任・契約不適合責任が及ぶかどうか、保証の対象になるかどうかは、住宅の種類・契約書の内容・症状の原因によって変わるため、本記事では「〜なら請求できます」という書き方を一切していません。判断が必要な場面では、住まいるダイヤル(03-3556-5147)や各地の弁護士会など、公的な窓口にご相談ください。本文の数値・制度は2026年8月時点で公式資料にあたって確認したものです。

引き渡し後の不具合は「よくあること」なのか

壁のひび、サッシまわりの雨染み、閉まりにくくなった建具。見つけた瞬間に頭をよぎるのは、たいてい「これは普通なのか」と「言っていい範囲なのか」の2つだと思います。

まず、事実だけを置きます。

国土交通大臣から「住宅紛争処理支援センター」の指定を受けている公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センターは、毎年『住宅相談統計年報』を公表しています。最新版が『住宅相談統計年報2025』(2025年9月発行)で、集計対象は2024年度です。

この年報によると、2024年度の新規相談件数は30,812件(前年度32,569件から約5.4%減)。相談区分の内訳は次のとおりでした。

相談区分2024年度の件数前年度比
新築相談11,682件9.3%減
既存相談(中古住宅の売買)1,664件2.4%増
リフォーム相談11,920件0.8%減
その他相談(賃貸借・相隣関係など)5,546件8.3%減
合計(新規相談件数)30,812件約5.4%減

(出典:『住宅相談統計年報2025』表1-2および本文。2024年度末時点で、2000年度の業務開始以降の新規相談件数の累計は521,192件)

年報はこの年、「初めて[リフォーム相談]の件数が[新築相談]を上回った」と明記しています。新築相談は11,682件、リフォーム相談は11,920件。相談の構造そのものが、新築中心からリフォーム中心へ移り始めている、ということです。

この30,812件のうち、何らかのトラブルを含む相談は21,450件(69.6%)。さらに賃貸借契約や相隣関係などを除いた「住宅のトラブルに関する相談」は18,489件(60.0%)でした。

74.6%という数字が出てくる場所

ここからが本題です。年報の「(4)不具合事象・部位」の節に、こう書かれています。

住宅のトラブルに関する相談のうち、雨漏りやひび割れなどの不具合が生じている相談は、[新築相談]で74.6%、[既存相談]で78.8%、[リフォーム相談]で60.1%であった

内訳の実数は、年報の表1-5と、公式サイトで別途公開されている資料編(全表49)から拾えます。

相談区分住宅のトラブルに関する相談うち不具合あり割合
新築相談8,952件6,677件74.6%
既存相談1,015件800件78.8%
リフォーム相談7,556件4,541件60.1%
その他相談966件467件48.3%
電話相談全体18,489件12,485件67.5%

新築相談11,682件のうち、何らかのトラブルを含む相談が9,072件。そこから賃貸借契約や相隣関係などを除いた「住宅のトラブルに関する相談」が8,952件で、そのうち不具合の部位・事象まで判明しているものが6,677件、という組み立てです。

この74.6%を読み間違えないために

この数字の母集団は「センターに相談を寄せた人」であって、新築住宅全体ではありません。相談窓口に電話をかける時点で、すでに何らかの困りごとを抱えている人が大半です。したがって「新築住宅の74.6%に不具合が出る」とは読めません
また、これは相談件数の統計であって、トラブルの発生件数ではありません。事業者と話がついた人、様子見をしている人、そもそもこの窓口を知らなかった人は、最初から数字に入っていません。年報の留意事項にも、集計は「相談者から聴き取った内容、または提供された資料をもとに」行っていると明記されています。
この数字から言えるのは、「不具合で困って相談した人が、2024年度だけで6,677件分いる」ということ。つまり、いま同じ状況にいるのはあなた一人ではない、という事実です。

相談の中身を見ると、新築は「不具合」が突出している

年報は相談内容を「不具合トラブル/不具合と契約トラブル/契約トラブル/住宅部品PL/知見相談/それ以外」に区分しています。新築相談11,682件の内訳はこうです。

相談内容新築相談での割合
不具合トラブル49.4%
契約トラブル17.9%
不具合と契約トラブル9.2%
知見相談(技術・法令・制度などの問い合わせ)21.1%
住宅のトラブル・知見以外2.3%

(出典:『住宅相談統計年報2025』図1-29)

不具合を含む相談が合わせて58.6%。年報も「[新築相談]では『不具合のトラブル』の割合が高く、[リフォーム相談]では他の相談区分と比較して『契約トラブル』の割合が高い」と記述しています。新築の相談は、契約の揉めごとよりも「モノが不具合を起こしている」話が中心だということです。

いちばん多い不具合は「ひび割れ」

では、具体的に何が起きているのか。ここからは、本編PDFではグラフになっている数字を、公式サイトの資料編(Excel)から実数で拾って整理します。

まず新築相談・戸建住宅(不具合ありの相談5,759件に対する複数カウント)から。

順位不具合事象件数割合多く見られる部位
1ひび割れ1,105件19.2%外壁、基礎
2雨漏り893件15.5%外壁、屋根
3性能不足892件15.5%設備機器、基礎
4変形703件12.2%開口部・建具、床
5汚れ631件11.0%床、内装
6はがれ630件10.9%外壁、内装
7漏水356件6.2%給水・給湯配管、設備機器
8作動不良326件5.7%開口部・建具、設備機器
9傾斜263件4.6%
10排水不良230件4.0%排水配管、外構
11きず161件2.8%床、開口部・建具
12沈下142件2.5%地盤、外構
13異常音138件2.4%設備機器、外壁
14腐食・腐朽136件2.4%柱、外壁
15結露118件2.0%内壁、開口部・建具
16床鳴り111件1.9%
17異臭79件1.4%排水配管、設備機器
18遮音不良34件0.6%床、外壁、内壁
その他(虫害・振動・断熱不良など)1,812件31.5%

(出典:『住宅相談統計年報2025』資料編 全表53、および本編 表1-6。1件の相談で複数の事象が数えられるため、割合の合計は100%を超えます。延べ件数は8,760件)

共同住宅等(829件)でも、上位3つは同じ顔ぶれでした。

順位不具合事象件数割合多く見られる部位
1ひび割れ151件18.2%外壁、内壁
2雨漏り125件15.1%外壁、開口部・建具
3性能不足117件14.1%設備機器、内壁
4はがれ107件12.9%外壁、内装
5漏水87件10.5%給水・給湯配管、設備機器
6汚れ63件7.6%床、内壁
7変形58件7.0%床、開口部・建具
8排水不良47件5.7%排水配管、外構

(出典:同 資料編 全表53。上位8件を抜粋)

この分類名は、見た目より広い範囲を指しています

資料編の注記によると、各分類の中身はこう定義されています。「ひび割れ」=ひび割れ・欠損・破断「はがれ」=剥がれ・外れ・浮き・ふくれ「変形」=隙間・不陸・変形・たわみ「汚れ」=カビ・変色・汚れ・しみ「その他」=虫害・振動・揺れ・断熱不良など
また「性能不足」は「使用した部材・設備機器等が通常有するべき性能を欠いている、または契約時に定められた性能を満たしていない状態」と定義されています。クロスの浮きは「はがれ」、床のたわみは「変形」に入る——自宅の症状がどの欄に該当しそうかを考えるときの目安になります。

部位で見ると、外壁と開口部・建具が上位

同じ資料編には、事象ではなく部位で数えた表もあります(新築相談・戸建住宅)。

順位不具合部位件数割合
1外壁1,134件19.7%
2開口部・建具956件16.6%
3846件14.7%
4設備機器757件13.1%
5基礎651件11.3%
6外構571件9.9%
7屋根(屋根裏を含む)568件9.9%
8内壁500件8.7%
9内装479件8.3%
10排水配管392件6.8%

(出典:同 資料編 全表54。複数カウント)

外まわり(外壁・屋根・基礎・外構)と、日々動かす部分(開口部・建具・設備機器)に集中しているのが分かります。毎日開け閉めするサッシやドア、毎日使う設備機器は、それだけ異変に気づきやすい場所でもあります。

「ひび割れが最多」を、そのまま自宅の判定に使わないこと

ここは慎重に書きます。ひび割れが相談として最も多いことと、目の前のひび割れが施工不良であることは、まったく別の話です。

外壁や基礎のひび割れには、幅・深さ・位置・進行の有無によって扱いが分かれます。乾燥収縮など構造に影響しないものもあれば、調査が必要なものもあります。素人目に区別できるものではありませんし、この記事にも書けません。写真と発生日を記録したうえで、まず事業者に見てもらい、判断に納得がいかないときに公的窓口へ——という順番になります。

なお、水漏れのように「まず水を止める」といった応急対応が先に来るものもあります。その手順は 水漏れ・つまりなど水回りトラブルの対処法 に分けてまとめてあります。

不具合はいつ出ているか——1年未満が29.4%、10年目前でまた増える

年報には、不具合が発生した時期の分布も載っています。新築相談のうち、不具合発生時の築後年数が判明しているものは3,356件

築後年数件数割合
1年未満988件29.4%
1年以上2年未満369件11.0%
2年以上3年未満206件6.1%
3年以上4年未満182件5.4%
4年以上5年未満131件3.9%
5年以上6年未満187件5.6%
6年以上7年未満117件3.5%
7年以上8年未満161件4.8%
8年以上9年未満162件4.8%
9年以上10年未満323件9.6%
10年以上11年未満93件2.8%
11年以上15年未満145件4.3%
15年以上292件8.7%
合計3,356件100%

(出典:『住宅相談統計年報2025』資料編 全表59、および本編 図1-42。築後年数が「不明」のものを除いて集計)

年報の本文は「築後3年未満までで46.5%を占め、その後ほぼ同水準で推移していくが、築後9年以上10年未満で9.6%と上昇している」と書いています。

読み取れることは2つ。約半数は最初の3年に出ていること。そして9年目から10年目にかけて、いったん下がった件数が再び上がることです。後者は、後述する品確法の10年と重なる時期です。

事象ごとに、出てくる時期はまるで違う

ここがこの統計でいちばん面白いところでした。資料編には、築後年数と不具合事象のクロス集計があります。同じ「新築の不具合」でも、事象によって時期の分布が正反対なのです。

不具合事象集計件数1年未満の割合9年以上10年未満の割合
きず86件79.1%0.0%
遮音不良24件66.7%0.0%
異常音76件53.9%5.3%
性能不足443件49.4%4.5%
排水不良159件47.2%4.4%
変形365件46.8%7.1%
作動不良184件39.7%8.7%
床鳴り81件38.3%7.4%
汚れ400件27.3%6.3%
漏水238件25.6%8.0%
ひび割れ708件22.5%13.8%
はがれ462件21.9%11.5%
腐食・腐朽100件11.0%20.0%
雨漏り640件9.1%17.0%

(出典:同 資料編 全表60。複数カウント。件数は築後年数が判明しているものの延べ数)

「きず」は8割近くが1年未満——これは直感どおりです。引き渡し直後に気づくもので、時間が経つほど「いつ付いたか」が言いにくくなる類のものでもあります。

対照的なのが雨漏りです。1年未満は9.1%しかなく、最も多いのは9年以上10年未満の17.0%。7〜8年(10.5%)、8〜9年(10.3%)と、後半に山があります。腐食・腐朽も同じ形で、1年未満11.0%に対し9〜10年が20.0%でした。

つまり、こういうことです。

「引き渡しから何年も経っているから、もう関係ない」とは限らない——雨漏りの分布は、そのことをはっきり示しています。

引き渡し前に見つけるのと、後に見つけるのとで何が変わるか

前章の「きずは1年未満が79.1%」が意味するのは、引き渡しの前後が、不具合との最初の接点になりやすいということです。

引き渡しに見つかったものは、是正のうえで引き渡しを受けるという流れになります。傷や清掃残りのような軽微なものほど、あとから「いつ付いたか」の話になりやすく、養生を外した直後の施主検査で押さえておくのが確実です。見る場所を部屋ごとに整理したものが 施主検査チェックリスト【新築引き渡し前】 で、当日その場でチェックを付けたい場合は 施主検査チェックリスト(無料ツール) を用意しています。

引き渡しに見つかった場合は、次の3つを揃えておくと、その後どの窓口に行くにしても話が早くなります。

この3点は、後述する専門家相談でも「写真、図面、契約書等を準備していただくとより効果的です」と案内されている内容と重なります。

入居直後にやることを時系列で押さえたい場合は 新築の入居前にやることリスト に、保証書・取扱説明書・点検時期の受け取りまで含めてまとめてあります。

相談した人は、何を望んでいるのか

もうひとつ押さえておきたいのが「相談者が何を求めているか」です。年報は、住宅のトラブルに関する相談における解決希望内容を集計しています。

年報の本文は「[新築相談]と[既存相談]では、『修補』の割合が約6割と最も多く、『修補と損害賠償』を加えた『修補』を含むものの合計は約7割を占める」と記述しています。一方の[リフォーム相談]は「修補」を含むものの合計が51.8%で、契約解消や工事代金関係など、修補以外の希望の割合が高くなっています。

苦情の相手方についても、年報は「[新築相談]では『新築時の施工業者』、[既存相談]では『不動産業者』、[リフォーム相談]では『リフォーム業者』の割合が最も高い」としています。

つまり新築の相談の典型像は、「建てた会社に、直してほしい」です。損害賠償や契約解消から入る人が多数派ではありません。この記事を読んでいる方の感覚とも、そう遠くないのではないかと思います。

公的な相談先の一覧と、使い分け

ここが本題です。それぞれ対象者と費用の条件が違うので、まとめて並べます。

窓口何をしてくれるか対象・費用(公式サイトの記載)
住まいるダイヤル(電話相談)建築士の資格を持つ相談員が、技術的な問題から法律的な問題まで電話で助言誰でも利用可。03-3556-5147/平日10:00〜17:00(土日祝休日・年末年始を除く)。固定電話からは全国どこからでも市内通話料(一部サービスを除く)。相談時間は30分程度が目安
専門家相談(対面/WEB)全国の弁護士会(47都道府県すべてに設置)で、弁護士と建築士が同席して相談に対応評価住宅・保険付き住宅の取得者または供給者、住宅リフォーム工事の発注者(予定者含む)、既存住宅の買主。相談時間1時間・原則無料。申込みはまず住まいるダイヤルへ電話
住宅紛争審査会の紛争処理あっせん・調停・仲裁による裁判外の解決手続き評価住宅と保険付き住宅に限定。申請手数料はあっせん・調停・仲裁いずれも1万円(消費税非課税)。ただし2022年9月30日より前に保険申込みされた2号保険付き住宅は1万4,000円(消費税非課税)となるため、金額は申請前に公式サイトでご確認ください
消費者ホットライン 188最寄りの市区町村・都道府県の消費生活センター等を案内誰でも利用可。相談は無料(相談窓口につながった時点から通話料の負担が発生)。原則毎日利用可(施設点検日・年末年始を除く)
各地の弁護士会法的な判断・交渉・訴訟を含む相談費用・予約方法は弁護士会ごとに異なるため、各会に確認

(出典:住まいるダイヤル公式サイト各ページ/消費者庁 消費者ホットライン。2026年8月時点)

まず住まいるダイヤルでいい理由

同センターの公式サイトには、電話相談で受け付けている例として「新築した住宅で雨漏りがしてきたのに、直してくれない」「住宅の不具合について、事業者との話し合いがまとまらない」がそのまま挙げられています。この記事を読んでいる方の状況に、そのまま重なる想定です。

相談員は建築士の資格を持ち、必要に応じて弁護士の助言を受けていると明記されています。年間3万件以上の電話相談を受けている窓口で、月曜・金曜・連休明けと、午前中から14時頃までは混み合う傾向があるとの案内も出ています。

なお、評価住宅・保険付き住宅の方はフリーダイヤルが使えます。手元の書類に「建設住宅性能評価書」または「保険付保証明書」があるかどうか、先に確認しておくと話が早くなります。

専門家相談は「無料だから」使われているわけではない

年報には、専門家相談を利用した人へのアンケート結果(n=1,057)も載っています。申し込んだ理由として最も多かったのは「弁護士と建築士が同席して話を聞いてくれるから」で91.8%。「無料だから」の39.9%を大きく上回っていました(複数回答)。

そして利用後の感想は、「大いに満足」44.7%と「満足」40.5%を合わせて85.2%が満足と回答しています。

住宅の不具合は、技術の話と法律の話が分かちがたく絡むのが厄介なところです。「この症状の原因は何か」は建築士の領域、「その場合どう主張できるか」は弁護士の領域で、片方だけに相談しても話が完結しません。同席して聞いてもらえる点が選ばれている理由——という読み方は、数字と素直に整合します。

2024年度の専門家相談の実施件数は、評価住宅125件、1号保険付き住宅436件、2号保険付き住宅45件、リフォーム572件、既存住宅71件の合計1,249件でした。

紛争処理は「評価住宅・保険付き住宅」限定

裁判外の解決手続き(あっせん・調停・仲裁)まで進める住宅紛争審査会は、全国の弁護士会が国土交通大臣の指定を受けて設置している(47都道府県すべてに設置)ものです。ただし対象は評価住宅と保険付き住宅に限られます。公式サイトも「評価住宅や保険付き住宅でない住宅の紛争は、取り扱うことができません」と明記しています。

年報によると、2024年度の申請受付件数は128件、制度開始からの累計は2,431件。その累計のうち90.8%(2,208件)が消費者からの申請で、97.0%(2,357件)が調停によって処理されています。

自宅が「評価住宅」「保険付き住宅」かどうかは確認できます

評価住宅は建設住宅性能評価書が交付された住宅、保険付き住宅は住宅瑕疵担保履行法に基づく瑕疵保険が付された住宅です。同センターは「評価住宅の該当性確認」「保険付き住宅の該当性確認」というサービスを用意しており、書類が見当たらない場合でも確認の道があります。詳細と手続きは公式サイトでご確認ください。
なお、公式サイトには「1号保険付き住宅の紛争処理を申請するときに、保険期間(10年間)が満期を迎えている場合、原則として、保険法人が紛争処理の手続に関与することはありません」との注意書きもあります。時期によって使える手段が変わるため、迷ったら早めに電話で聞くのが確実です。

契約・販売方法の話が混じるなら188も

不具合そのものではなく、契約の内容や販売の方法に問題を感じる場合は、消費者ホットライン188から最寄りの消費生活センターへつながります。消費者庁の説明では、188は「お近くの市区町村や都道府県の消費生活センター等の消費生活相談窓口をご案内するもので、消費者庁につながるものではありません」とされ、相談自体は無料(つながった時点から通話料の負担が発生)です。

年報でも、住まいるダイヤルが他機関を案内した件数は消費者からの相談の2割前後で推移しており、2024年度に案内された機関は「弁護士会等」が最も多く、次いで「関連団体」「建築設計団体」「宅建協会」だったと記載されています。ひとつの窓口で完結しない前提で、たらい回しではなく「引き継ぎ」が設計されていると考えるほうが実態に近そうです。

「何年まで直してもらえるのか」は、制度と契約を分けて考える

いちばん知りたいところだと思いますが、ここは個別の断定ができない領域です。分けて書きます。

制度としての一般論は明確です。国土交通省の資料によれば、住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)は、民法の特例として、新築住宅の「構造耐力上主要な部分」および「雨水の浸入を防止する部分」について、引渡しから10年間の瑕疵担保責任を義務づけています(短縮不可)。対象は、①住宅を新築する建設工事の請負契約では注文者に引き渡したときから10年間、②新築住宅の売買契約では売主が買主に引き渡したときから10年間です。

同資料では、その部分が図で示されています。

区分含まれる部分(国土交通省資料の例示)
構造耐力上主要な部分基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組、土台、斜材、床版、屋根版、横架材
雨水の浸入を防止する部分屋根、外壁、開口部(共同住宅の例では排水管も図示)

前章で見た「9年以上10年未満で9.6%と上昇」、そして「雨漏りは9〜10年目が最多(17.0%)」という分布は、この10年という区切りと時期が重なります。年報はその理由まで書いていませんが、期限が近づく時期に相談が増えているという事実は、記録として知っておく価値があります。

そのうえで、ここから先は個別の話になります。

この記事では期間の適用可否を判断していません

「10年以内だから直してもらえる」「10年を過ぎたから無理」といった断定は、この記事ではしていません。品確法の10年は上記2つの部分についての制度上の義務であり、それがご自宅の症状にどう及ぶかは、住宅の種類・契約書の内容・原因の特定によって変わります。お手元の契約書・保証書・(あれば)建設住宅性能評価書や保険付保証明書を確認したうえで、事業者と、必要に応じて住まいるダイヤル(03-3556-5147)や弁護士会にご相談ください。

依頼先を選ぶ段階で減らせるもの、減らせないもの

これから建てる方向けの話を、最後に少しだけ。

年報の数字を眺めていて素直に受け止めるべきだと思ったのは、「不具合はゼロにはならない」ということです。2024年度だけで新築の不具合相談が6,677件ある以上、どこに頼んでも起きるときは起きます。

一方で、起きたあとの動きやすさは、依頼先を選ぶ段階である程度決まります。統計と制度を突き合わせると、確認しておく価値があるのはこのあたりです。

これらは契約前なら、聞けば答えが返ってくる項目です。逆に、契約後や引き渡し後に確認しようとすると、書類を探すところから始まります。複数社を同じ条件で並べる方法は 注文住宅のハウスメーカー比較 に、家づくり全体の流れは 注文住宅の進め方 完全ガイド にまとめてあります。

この記事を書くために統計と制度を読んで、はじめてここまで整理できました。不具合に遭っていないのは、たまたま運が良かっただけかもしれません。だからこそ、これから契約する方には、上の5つを聞くだけ聞いておくことをおすすめします。

この記事で断定していないこと

まとめ

引き渡し前の確認は 施主検査チェックリスト、入居前後の段取りは 新築の入居前にやることリスト へどうぞ。

出典・ご確認先(2026年8月時点で確認)

※本記事が参照した最新版は『住宅相談統計年報2025』(2024年度分)です。2026年8月7日時点で、2025年度分を集計した次版は公表されていません。統計は年度ごとに更新されるため、最新の数値は必ず上記の公式ページでご確認ください。
※制度・保証の適用可否は個別の契約内容によって異なります。必ず契約書・保証書と事業者、および公的な相談窓口でご確認ください。この記事は法律上の助言ではありません。

関連記事:施主検査チェックリスト【新築引き渡し前】新築の入居前にやることリスト注文住宅のハウスメーカー比較水回りトラブルの対処法注文住宅の進め方 完全ガイド。カテゴリ一覧は 家づくり・住宅設備 へ。

よくある質問(FAQ)

新築の引き渡し後に不具合が出るのは、よくあることですか?

住宅リフォーム・紛争処理支援センター『住宅相談統計年報2025』(2025年9月発行・2024年度分)によると、新築住宅について寄せられた「住宅のトラブルに関する相談」8,952件のうち、実際に不具合が生じていたのは74.6%にあたる6,677件でした。ただしこの数字は「同センターへ相談を寄せた人の中の割合」であり、「新築住宅の74.6%に不具合がある」という意味ではありません。これは相談件数の統計であって、トラブルの発生件数ではなく、相談しなかった人は最初から含まれていません。読み取れるのは「不具合で困って相談した人が、2024年度だけで6,677件分いる」という事実です。

新築で最も多い不具合は何ですか?

同年報の資料編(全表53)によると、新築相談・戸建住宅(不具合ありの相談5,759件に対する複数カウント)で最も多い不具合事象は「ひび割れ」で1,105件・19.2%でした。次いで「雨漏り」893件・15.5%、「性能不足」892件・15.5%、「変形」703件・12.2%、「汚れ」631件・11.0%、「はがれ」630件・10.9%と続きます。共同住宅等(829件)でも上位3つは同じで、「ひび割れ」151件・18.2%、「雨漏り」125件・15.1%、「性能不足」117件・14.1%でした。なお同資料の分類では「ひび割れ」に欠損・破断が、「変形」に隙間・不陸・たわみが含まれます。

不具合はいつごろ出ることが多いですか?

同年報の資料編(全表59)で、新築相談のうち不具合発生時の築後年数が判明している3,356件を見ると、1年未満が988件・29.4%で最も多く、築後3年未満までで46.5%を占めます。その後はほぼ同水準で推移しますが、9年以上10年未満で323件・9.6%と再び上がります。事象別(全表60)では傾向が分かれ、「きず」は1年未満が79.1%、「性能不足」は49.4%、「変形」は46.8%と早期に集中する一方、「雨漏り」は1年未満が9.1%にとどまり、9年以上10年未満の17.0%が最も多くなっています。

新築の不具合はどこに相談すればいいですか?

まずは契約した事業者のアフターサービス窓口です。そのうえで話が進まないときの公的な窓口が、国土交通大臣指定の住宅専門相談窓口「住まいるダイヤル」(公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター)で、電話は03-3556-5147、受付は平日10時から17時(土日祝休日・年末年始を除く)です。建築士の資格を持つ相談員が対応します。契約や販売方法のトラブルを含む場合は消費者ホットライン188から最寄りの消費生活センターへ、法的な判断が必要なら各地の弁護士会へ相談してください。

弁護士に相談すると費用がかかりますか?

住まいるダイヤル経由の「専門家相談」は、全国の弁護士会(47都道府県すべてに設置)で行われる弁護士・建築士との対面相談で、公式サイトには相談時間1時間・原則無料と記載されています。利用できるのは評価住宅または保険付き住宅の取得者・供給者、住宅リフォーム工事の発注者(予定者を含む)、既存住宅の買主です。申込みはまず住まいるダイヤルへの電話からになります。これとは別に、弁護士会が独自に行う法律相談は有料のことが一般的なので、費用は申し込む窓口ごとに確認してください。

新築の保証は何年ですか?

制度としての一般論は、住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)が、新築住宅の「構造耐力上主要な部分」と「雨水の浸入を防止する部分」について、引渡しから10年間の瑕疵担保責任を義務づけている(短縮不可)という点です。国土交通省の資料では、構造耐力上主要な部分として基礎・基礎ぐい・壁・柱・小屋組・土台・斜材・床版・屋根版・横架材が、雨水の浸入を防止する部分として屋根・外壁・開口部などが図示されています。ただし、これ以外の部分の保証期間や点検の条件は事業者ごとの契約内容によります。ご自宅の保証範囲・期間・窓口は、必ず契約書と保証書、そして事業者に確認してください。