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注文住宅の後悔は本当に多い?【2026年】国の調査で見る妥協と不満

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国土交通省の令和7年度 住宅市場動向調査(2026年7月公表)では、注文住宅を建てた世帯で妥協が「特になし」は9.7%、満足していないものが「特になし」は32.9%でした。妥協と不満は別物です。公的調査の数字から不満が残りやすい場所を整理し、部位別の後悔記事へ案内します。

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結論

国土交通省『令和7年度 住宅市場動向調査』(2026年7月公表)に、この記事の答えになる設問が新しく入りました。注文住宅を建てた世帯で、住宅選びにあたり妥協したものが「特になし」だったのは9.7%。9割近くがどこかを妥協しています。ところが「満足していないもの」が「特になし」だった人は32.9%いました。妥協したことと、不満が残ったことは別物です。この記事は、その差がどこで生まれているのかを公的調査の数字だけで追い、部位別の後悔記事へ案内します。

この記事でわかること

実体験メモ

先に立場を書きます。私は土地を購入して積水ハウスで注文住宅を建て、そこに住んでいます。土地探し・資金計画・住宅ローン・引き渡しまで、施主として一通り通過しました。GX志向型住宅の補助金(当時の額で160万円)も受け取っていて、これは予算の上限に達する直前でぎりぎり通ったという経緯でした。洗面台はタカラスタンダードを選んで今も使っています。
そのうえで、この記事に「私はここを後悔している」という話は書きません。個別の設備の使い勝手について公開できる記録が手元になく、思い出しながら書けば必ず盛ってしまうからです。書けるのは、施主として一度通ったからこそ「この数字はこういう場面のことだ」と補足できる部分だけです。後悔の中身は、私の記憶ではなく国の調査と、部位ごとに書いた14本の記事に任せます。

この記事の数字の扱いについて

本文の数値は、すべて国土交通省・住宅金融支援機構が公表しているPDFを直接開いて確認したものです。ネット上の口コミ、SNSの投稿、体験談まとめの類は一切使っていません。「◯%が後悔している」といった、出典のない割合も書いていません。調査ごとに対象・設問・年度が違うため、数字を並べるときは必ず調査名と定義を添えています。予算や住宅ローンの判断は個々の事情で変わります。この記事は判断そのものを勧めるものではないため、具体的な資金計画は金融機関やファイナンシャルプランナー、依頼先の担当者にご相談ください。

妥協しなかった人は10人に1人しかいない

まず、いちばん新しい数字から見ます。

国土交通省の『令和7年度 住宅市場動向調査』は、令和6年度中(2024年4月〜2025年3月)に住み替え・建て替え・リフォームを行った世帯を対象にした調査で、報告書は令和8年(2026年)7月に公表されました。注文住宅は全国が対象で、回収数は735件です。

この調査に「住宅選択にあたり妥協したもの」という設問があります。注文住宅取得世帯(全国)の回答は次のとおりでした(複数回答)。

妥協したもの割合
価格(予定より高くなった)63.8%
住宅の広さ35.3%
間取り、部屋数28.0%
住宅のデザイン19.5%
職場からの距離17.3%
交通の利便性13.7%
生活利便性の高い立地10.4%
浴室の設備、広さ8.3%
台所の設備、広さ8.0%
気密性、断熱性能6.4%
自然災害に対する安全性の高い立地5.7%
防犯性能の高さ4.2%
治安面で安心できる立地2.2%
その他1.0%
特になし9.7%
無回答1.0%

目を引くのは最下段です。「特になし」は9.7%(無回答1.0%)。つまり9割近くが、どこかを妥協したと答えています

なお、この「特になし」という選択肢は令和7年度調査から追加されたもので、報告書にもその旨の注記があります。過去年度との比較はできません。

「注文住宅なら自由に建てられるはずなのに」と思うかもしれませんが、同じ調査で注文住宅取得世帯の87.2%が「希望順位が高かった住宅」として「新築一戸建て(注文)」を挙げています。第一希望をつかんだ人が9割近くいて、それでも妥協が9割近く。第一希望を手に入れることと、全部を通すことは別だということです。

妥協と不満は、同じではない

同じ令和7年度調査に、もうひとつ新しい設問が入りました。「建築・購入・入居した住宅に満足していないもの」です。注文住宅取得世帯(全国)の回答はこうなります(複数回答)。

満足していないもの割合(参考)妥協した割合
価格(予定より高くなった)36.1%63.8%
住宅の広さ18.8%35.3%
間取り、部屋数16.8%28.0%
職場からの距離9.5%17.3%
交通の利便性9.4%13.7%
住宅のデザイン8.9%19.5%
生活利便性6.6%10.4%
気密性、断熱性能5.8%6.4%
浴室の設備、広さ4.6%8.3%
台所の設備、広さ4.2%8.0%
自然災害に対する安全性2.7%5.7%
防犯性能2.4%4.2%
治安の良さ1.0%2.2%
その他4.3%1.0%
特になし32.9%9.7%
無回答1.5%1.0%

※「妥協したもの」と「満足していないもの」は別の設問です。選択肢の文言もわずかに異なるため(例:妥協は「生活利便性の高い立地」、不満は「生活利便性」)、右列は参考として並べています。

ここが、この記事でいちばん見てほしいところです。

妥協した人は9割近く。でも「満足していないものは特になし」と答えた人が32.9%いる。

項目別に見ても同じ傾向です。価格は63.8% → 36.1%、住宅の広さは35.3% → 18.8%、間取り・部屋数は28.0% → 16.8%、住宅のデザインは19.5% → 8.9%妥協した割合の、おおむね半分前後が不満として残っています。

裏返すと、妥協したことの半分ほどは、住み始めたあとに不満として残っていないということになります。「予定より高くなった」も「思ったほど広く取れなかった」も、決めた時点では確かに妥協です。それが暮らしのなかで問題になり続けるかどうかは、また別の話だということが数字に出ています。

一方で、気密性・断熱性能だけは妥協6.4%に対して不満5.8%と、ほとんど目減りしていません。妥協した人の数自体は少ないのですが、妥協した場合はそのまま不満として残りやすい項目だ、という読み方はできます。ここは後段の要素別の不満率とも重なります。

間取りと部屋数は、妥協28.0%・不満16.8%で、価格と広さに次ぐ3番目でした。間取りそのものよりも「暮らしてみたときの動線」で気づくことが多い部分なので、詳しくは 間取りの動線で後悔しない に分けて書いています。広さについては、面積そのものより家具を置いたあとの体感でつまずくケースを リビングで後悔しないために、部屋数の割り振りは 寝室で後悔しないために にまとめました。

1位が「特になし」にならなかったのは、注文住宅だけだった

もうひとつ、この設問には住宅の種類別の比較があります。「満足していないもの」で「特になし」と答えた割合を並べると、こうなります。

住宅の種類「特になし」1位の項目
既存(中古)集合住宅44.4%価格(予定より高くなった)15.0%
分譲集合住宅40.0%住宅の広さ21.9%
既存(中古)戸建住宅38.3%価格(予定より高くなった)13.8%
分譲戸建住宅35.2%価格(予定より高くなった)21.9%
注文住宅32.9%価格(予定より高くなった)36.1%
民間賃貸住宅29.7%価格・家賃(予定より高くなった)17.3%

※注文住宅は全国、その他は三大都市圏での調査です。地域が揃っていないため、厳密な横並びの比較ではありません。

報告書も「満足していないものは、注文住宅取得世帯では『価格(予定より高くなった)』が最も多い。他の住宅取得・入居世帯では『特になし』が最も多い」と書いています。つまり、調査対象の6区分のうち、1位が「特になし」にならなかったのは注文住宅だけでした(「特になし」の割合そのものは民間賃貸住宅29.7%のほうが低く、注文住宅32.9%は下から2番目です)。

自由に決められるはずの注文住宅で、不満が残りやすい。逆説的ですが、決められる範囲が広いということは、決めそこねる余地も広いということでもあります。この記事が部位ごとの記事へ丁寧に案内しているのは、そこが理由です。

価格の妥協はどこから来るのか

妥協も不満も1位は「価格(予定より高くなった)」でした。金額そのものを見ておきます。

同じ『令和7年度 住宅市場動向調査』の購入資金です。

区分平均値中央値自己資金比率
注文住宅(土地を購入した新築世帯・土地購入資金を含む)7,646万円5,100万円30.1%
注文住宅(建て替え世帯)6,135万円4,000万円51.5%
分譲戸建住宅5,099万円4,600万円26.7%
分譲集合住宅6,443万円5,500万円39.9%

※注文住宅は全国、その他は三大都市圏での調査です。

注目すべきは、平均7,646万円に対して中央値5,100万円という差です。その差は2,500万円を超えます。

平均値は、一部の高額な事例に強く引っ張られます。中央値は、金額順に並べたときにちょうど真ん中に来る世帯の値です。「みんなこれくらい」に近いのは中央値のほうで、平均だけを見て予算を組むと、最初から実態より高い基準を持ってしまうことになります。分譲戸建(平均5,099万円・中央値4,600万円)と比べても、注文住宅は平均と中央値の開きが大きいのが特徴です。

自己資金比率も、土地を買った新築世帯30.1%と建て替え世帯51.5%で大きく違います。

規模の大きい調査としては、住宅金融支援機構『2025年度 フラット35利用者調査』(2026年7月24日公開)があります。こちらは集計35,553件で、うち注文住宅3,889件・土地付注文住宅7,733件。注文住宅(全国3,889件)の建設費は平均4,259.8万円、住宅面積118.4㎡、敷地面積326.6㎡でした。

この2つの金額を並べて引き算しないでください

住宅市場動向調査の7,646万円は土地代を含む総額、フラット35利用者調査の4,259.8万円は建設費のみです(フラット35調査の「注文住宅」は、建設費をフラット35で借り入れ、土地取得費はフラット35で借り入れていない区分を指します)。定義が違うので、差額を土地代とみなすような読み方はできません。
また、フラット35利用者調査の母集団はフラット35の利用者であり、住宅を取得した人全体ではありません。金利タイプや借入先の選び方に偏りが生じます。都道府県ごとの建設費は [注文住宅の建築費ランキング](/kenchikuhi-ranking/) に整理しました。

価格の妥協を減らしたいなら、削る場所を先に決めておくのが現実的です。ただし「安く建てる」こと自体に固有の落とし穴があります。仕様の規格化やグレード設定の仕組みを含めて ローコスト住宅で後悔しやすいポイント にまとめました。総予算の組み方は 注文住宅の予算の決め方 をどうぞ。

「先に決めた項目」ほど、不満が残っていない

同じ調査には「設備等に関する選択理由」という設問もあります。注文住宅取得世帯(全国)が、その住宅を選ぶ理由になった設備等です。

選択理由になった設備等割合(参考)満足していない割合
高気密・高断熱住宅66.0%5.8%(気密性、断熱性能)
住宅のデザイン61.0%8.9%
火災・地震・水害などに対する安全性の高さ50.3%2.7%(自然災害に対する安全性)
間取り、部屋数49.3%16.8%
住宅の広さ36.0%18.8%
台所の設備、広さ33.7%4.2%
浴室の設備、広さ23.0%4.6%
防犯性能の高さ21.0%2.4%(防犯性能)
段差がない、手すりがあるなど高齢者等への配慮13.0%

見えてくるのは、選ぶ理由として強く意識された項目ほど、あとから不満として挙がっていないという関係です。高気密・高断熱は66.0%が選択理由に挙げた一方、不満は5.8%にとどまります。

逆に、選択理由としては中位(間取り49.3%・広さ36.0%)なのに、不満では上位に来るのが間取りと広さでした。この2つは、カタログや仕様書の段階では比較しにくく、暮らし始めてから効いてくる性質のものです。設備は型番で比べられますが、動線は比べられません。

台所と洗面は、不満の割合こそ低いものの、決めた人の満足と決めなかった人の後悔が分かれやすい場所です。設備選びの前に押さえておく点は キッチンで後悔しないために洗面所・脱衣所の後悔 にまとめました。私自身が公開できる範囲で書けるのは、洗面台にタカラスタンダードを選んで使っているという事実までで、使い勝手の評価はそこには入れていません。

「住まいへの不満率21.2%」の正しい読み方

ここまでは「注文住宅を建てた人」に絞った、直近1年分の調査でした。もう少し長い目で見るための調査もあります。

国土交通省の『令和5年 住生活総合調査(確報集計)』です。住宅・土地統計調査と同じ年に約5年周期で実施されていて、令和5年調査は14回目。調査時点は令和5年12月1日集計世帯数は72,421(回収率約64%)。速報が令和7年1月、確報が令和7年8月に公表されました。

この調査では、住宅と居住環境に対する総合的な評価を「満足」「まあ満足」「多少不満」「非常に不満」の4段階で聞き、「非常に不満」または「多少不満」を選んだ世帯の割合を不満率として整理しています。令和5年の内訳はこうです。

回答割合
満足22.5%
まあ満足55.4%
多少不満18.0%
非常に不満3.2%
不明0.9%
不満率(多少不満+非常に不満)21.2%

そして、この不満率は長期的に下がってきました。

調査年不満率
昭和58年38.4%
昭和63年35.6%
平成5年34.2%
平成10年35.4%
平成15年28.5%
平成20年28.4%
平成25年22.1%
平成30年21.5%
令和5年21.2%

報告書は「不満率は継続して減少しており、昭和58年の38.4%から令和5年の21.2%となっている。平成25年からは、不満率は微減しているものの、ほぼ横ばいで推移している」と記しています。

この21.2%は「後悔した人の割合」ではありません

誤読が起きやすい数字なので、はっきり書いておきます。21.2%は、全国の世帯に「今の住宅と居住環境をどう評価するか」を4段階で聞いた結果です。持ち家も借家も、戸建も共同住宅も、注文住宅も分譲も中古もすべて含みます。注文住宅に限った数字ではなく、「後悔したか」を聞いた設問でもありません。「注文住宅を建てた人の21.2%が後悔している」と読むのは誤りです。
この記事では、この数字を住まい全般に対する不満の長期的な水準を知るための背景としてだけ使っています。また、不満率が下がってきたことは事実ですが、そこから「だから後悔しない」とは言えません。あくまで別々の話です。

同じ調査には、参考になる内訳もあります。持ち家の不満率は19.8%、借家は24.9%。持ち家世帯を住宅の取得方法別に見ると次のとおりでした。

持ち家の取得方法不満率
新築住宅を取得17.8%
既存住宅を取得20.4%
相続・贈与で取得26.1%
その他26.0%

※報告書の注に「『新築住宅を取得』には、『新築(建て替えを除く)』と『建て替え』を含む」とあります。注文住宅か分譲住宅かの区別はされていません。

家族類型別では、「親と子供から成る世帯(長子17歳以下)」の不満率が18.3%で、昭和58年の43.9%から一貫して下がっています。子育て世帯は、住まいへの不満率がむしろ低いグループです。

要素別に見ると、不満は「性能」に集まっている

同じ住生活総合調査は、住宅を18の要素に分けて不満率を出しています。令和5年の全項目がこれです。

住宅の個別要素不満率(令和5年)
高齢者への配慮(段差がない等)43.4%
断熱性41.1%
エネルギー消費性能(光熱費の節約)39.7%
地震に対する安全性38.4%
いたみの少なさ37.9%
防犯性34.8%
収納の多さ、使い勝手33.1%
台風や水害に対する安全性31.9%
火災に対する安全性31.3%
外部からの騒音などに対する遮音性30.4%
維持管理のしやすさ28.2%
上下階や隣戸・隣室からの騒音などに対する遮音性28.0%
水回りの広さ、使い勝手25.6%
換気のよさ(臭いや煙などが残らない)24.4%
子どもへの配慮(安全確保等)23.7%
プライバシー確保23.4%
居間など主たる居住室の採光21.7%
広さや間取り21.4%

※全国の全住宅が対象です。築年数の古い住宅も含むため、これから建てる家の話にそのまま置き換えることはできません。

上位に並ぶのは性能と安全です。しかも報告書は、平成30年からの変化として「断熱性(2.5ポイント)、エネルギー消費性能(3.4ポイント)、いたみの少なさ(0.3ポイント)は増加」と書いています。多くの項目で不満率が下がるなか、上げ幅が大きいのは断熱性と光熱費(エネルギー消費性能)の2項目でした。光熱費の水準が変わったことを考えれば、不自然な動きではありません。

そして、いちばん興味深いのが最下段です。「広さや間取り」の不満率21.4%は、18項目中で最も低い。ところが後述するとおり、この項目は「最も重要」で1位であり、リフォーム・建て替えで直したい点でも1位です。重要度が高く、不満率は低く、それでも直したくなる。この矛盾に見える組み合わせが、「後悔」という言葉が指しているものの正体に近いのだと思います。

不満率の高い項目のうち、設計段階で手を打てるものは記事に分けてあります。換気のよさ(24.4%)は窓の数ではなく入口と出口の対で決まるので 風通しで後悔しないために採光(21.7%)は窓の大きさより位置なので 窓の位置で後悔しない に整理しました。収納の多さ・使い勝手(33.1%)は量よりも置き場所の問題になりやすく、収納で後悔しないために にまとめています。高齢者への配慮(43.4%)は、いま建てる家で言えば段差と階段の設計が中心になります。位置と勾配の考え方は 階段で後悔しないために をどうぞ。

敷地の外側は、別の話として分けて考える

住生活総合調査は、住宅とは別に居住環境も18項目で聞いています。令和5年の上位はこうでした。

居住環境の個別要素不満率(令和5年)
近隣のシェアオフィスなど自宅や職場以外で仕事のできる環境45.9%
敷地やまわりのバリアフリー化の状況43.2%
文化施設(図書館等)の利便37.4%
周辺からの延焼のしにくさ34.8%
道路の歩行時の安全性34.5%
災害時の避難のしやすさ30.1%
医療・福祉・介護施設の利便26.8%
親・子・親せきとの距離26.1%
騒音・大気汚染の少なさ25.4%
子育て・教育環境の充実度24.8%
日常の買物などの利便24.4%
水害・津波・土砂災害の受けにくさ24.2%
敷地の広さや、日当たり・風通しなどを確保できる空間のゆとり23.5%
通勤・通学の利便22.9%
まちなみ・景観22.7%
近隣の人やコミュニティとの関わり22.6%
公園や緑、水辺などの自然環境21.3%
治安16.9%

ここで注意が要ります。不満率が最も高い「近隣のシェアオフィス…」(45.9%)は、同じ調査で「重要ではない」を選んだ人が53.1%と最多でした。不満率が高い=優先度が高い、ではありません。「気にしていないので不満と答えた」項目と、「大事なのに不満が残った」項目は、数字の上では区別がつきません。

参考までに、同じ調査で「最も重要」を1つだけ選ぶ設問の1位は「広さや間取り」11.8%でした。子育て世帯(長子17歳以下の世帯を抽出)に絞ると20.1%まで上がり、全世帯より8.3ポイント高くなります。

敷地まわりで施主が手を入れられる部分は、外構と駐車まわりです。「敷地の広さや、日当たり・風通しなどを確保できる空間のゆとり」(23.5%)は建物の配置とセットで決まるので 外構で後悔しないために、車の台数やドアの開閉幅は 駐車場で後悔しないために に分けています。外構は予算の後回しになりやすく、削られたときに真っ先に効いてくる部分でもあります。

部位別・設備別の後悔ポイント(記事一覧)

ここからが、この記事の本題の入口です。「注文住宅の後悔」は、実際には場所ごとに違う話の集まりです。くらべてナビでは部位ごとに1本ずつ記事を用意しているので、いま検討している場所から入ってください。

場所・テーマ記事押さえどころ
間取り・動線間取りの動線で後悔しない家事・洗濯・ゴミ出し・来客の4本の動線
リビングリビングで後悔しないために広さの体感・家具配置・リビング階段
寝室寝室で後悔しないために広さとベッド配置・コンセント・音と光
キッチンキッチンで後悔しないために通路幅・作業動線・コンセント
パントリーパントリーで後悔しないために奥行き・位置・棚の可動
洗面所・脱衣所洗面所・脱衣所の後悔兼用か分離か・洗濯動線・湿気
収納収納で後悔しないために量より「使う場所にあるか」
玄関玄関で後悔しないために狭い・暗い・収納不足・におい
階段階段で後悔しないために位置・勾配・リビング階段の寒さと音
窓の位置窓の位置で後悔しない採光・視線・家具の置きやすさ
風通し風通しで後悔しないために窓の「数」より入口と出口の「対」
外構外構で後悔しないために予算の後回し・目隠し不足
駐車場駐車場で後悔しないために台数・ドア開閉幅・勾配
ローコスト住宅ローコスト住宅で後悔しやすいポイントなぜ安く建てられるのかの仕組み

ランドリールームを検討中なら ランドリールームの後悔・失敗例 も併せてどうぞ。

全部を一度に読む必要はありません。上の要素別の不満率を見て、自分がまだ考えていない場所から開いてください。

直せる後悔と、直せない後悔

同じ住生活総合調査に、今後リフォームや建て替えを考えている世帯が「住宅の質について重視する点」を答えた集計があります。19項目のうち上位3つが載っていて、結果はこうです。

対象今後のリフォームで重視する点(上位3)今後の建て替えで重視する点(上位3)
全世帯広さや間取り17.8% / 高齢者への配慮11.9% / いたみの少なさ11.9%広さや間取り28.0% / 維持管理のしやすさ10.7% / 地震に対する安全性9.0%
親と子供から成る世帯(長子17歳以下)広さや間取り31.8% / 維持管理のしやすさ10.9% / 収納の多さ・使い勝手10.2%広さや間取り43.3% / 維持管理のしやすさ8.7% / 収納の多さ・使い勝手7.1%

どの層でも1位は「広さや間取り」で、子育て世帯ではリフォームで31.8%、建て替えでは43.3%に達します。

ここで前述の矛盾が効いてきます。広さや間取りの不満率は18項目中で最低(21.4%)なのに、直したいものとしては断然の1位強い不満にはなっていないが、機会があれば真っ先に手を入れたい部分——これが、多くの人が「後悔」と呼んでいるものの実態に近いのではないかと思います。

そして間取りは、リフォームでも建て替えでも1位に来るほど、直すコストが高い部分です。この記事では、ざっくり次のように分けて考えることをおすすめします。

打ち合わせの時間配分も、この順に逆比例させるのが合理的です。直しにくいものから決めて、直しやすいものは後回しにする。設備のショールーム巡りに時間を使い切って、動線の検討が薄いまま契約に至る——という順番が、いちばん惜しいパターンです。

日々の出入りで効いてくる玄関と、後付けが難しいパントリーは、この線引きのちょうど境目にあります。玄関で後悔しないためにパントリーで後悔しないために は、着工前に一度読んでおくと打ち合わせの質問が変わります。

契約前にできることは、そんなに多くない

ここまでの数字から言えるのは、次の3つくらいです。

1. 予算は中央値から組む

平均7,646万円ではなく、中央値5,100万円のほうが多くの世帯の実感に近い値です。妥協の1位が「価格(予定より高くなった)」63.8%であることを踏まえると、上振れる前提で余白を持たせておくしかありません。総額の考え方は 注文住宅の予算の決め方、借入の考え方は 住宅ローンはいくら借りられる? に分けています。具体的な返済計画は必ず金融機関や専門家に相談してください。

2. 「何を優先するか」を先に文章にしておく

選択理由の上位(高気密・高断熱66.0%、デザイン61.0%、安全性50.3%)は、言葉にしやすいから優先できた項目でもあります。逆に不満に残りやすい間取りと広さは、言語化しないまま図面の話に入ってしまいがちです。優先順位の言語化は 注文住宅のコンセプトの決め方 にまとめました。

3. 同じ条件で複数社を比べる

『令和7年度 住宅市場動向調査』では、注文住宅取得世帯の87.2%が第一希望どおり「新築一戸建て(注文)」を取得しています。それでも妥協が9割近くある以上、どこで妥協するかは依頼先によって変わると考えるほうが自然です。比べ方は 注文住宅のハウスメーカー比較、何社くらい見るかは 注文住宅は何社に見積もりを取る?、全体の流れは 注文住宅の進め方 完全ガイド をどうぞ。カタログを横並びで集めるところから始めたい場合は 注文住宅の一括資料請求 に整理しています。

引き渡しの直前になったら、新築の引き渡しチェックリスト も併せて使ってください。

この記事で断定していないこと

まとめ

出典(いずれも2026年8月時点でPDFを開いて確認)

※統計の数値は調査年度ごとに更新されます。最新値は必ず各機関の公式ページでご確認ください。制度・税制・補助金の適用可否は年度や個別条件で変わるため、判断が必要な場面では所管の窓口や専門家にご相談ください。

関連記事:注文住宅の進め方 完全ガイド注文住宅のコンセプトの決め方注文住宅の建築費ランキング注文住宅のハウスメーカー比較。カテゴリ一覧は 家づくり・住まい へ。

よくある質問(FAQ)

注文住宅で後悔している人はどれくらいいますか?

「後悔した人の割合」を直接聞いた公的統計は見当たりません。いちばん近いのは国土交通省『令和7年度 住宅市場動向調査』(2026年7月公表)の新しい設問で、注文住宅取得世帯(全国・回収735件)のうち「満足していないもの」が『特になし』だったのは32.9%でした。挙がった項目で最も多いのは「価格(予定より高くなった)」36.1%、次いで「住宅の広さ」18.8%、「間取り、部屋数」16.8%です。複数回答のため、合計は100%になりません。

注文住宅を建てた人は、みんなどこかで妥協しているのですか?

同じ調査の「住宅選択にあたり妥協したもの」(複数回答)で、注文住宅取得世帯(全国)の『特になし』は9.7%でした(ほかに無回答1.0%)。裏を返せば9割近くが何かを妥協したと答えています。最多は「価格(予定より高くなった)」63.8%、次いで「住宅の広さ」35.3%、「間取り、部屋数」28.0%です。ただし妥協したことと不満が残ったことは同じではありません。価格は妥協63.8%に対して満足していない36.1%、広さは35.3%に対して18.8%と、いずれも不満のほうが小さくなっています。

「住まいへの不満率21.2%」は注文住宅の後悔率のことですか?

違います。21.2%は国土交通省『令和5年 住生活総合調査(確報集計)』(令和7年8月公表)の数字で、全国の世帯に住宅と居住環境の総合的な評価を「満足」「まあ満足」「多少不満」「非常に不満」の4段階で聞き、「非常に不満」3.2%と「多少不満」18.0%を合計したものです。持ち家も借家も、戸建も共同住宅も含みます。注文住宅に限った数字ではなく、「後悔したか」を聞いた設問でもありません。

注文住宅の予算は平均でいくらくらいですか?

『令和7年度 住宅市場動向調査』では、土地を購入した注文住宅の新築世帯の購入資金(土地購入資金を含む)は平均7,646万円、中央値5,100万円でした。建て替え世帯は平均6,135万円、中央値4,000万円です。平均と中央値に2,500万円前後の差があるのは、一部の高額な事例が平均を押し上げているためで、多くの世帯の実感に近いのは中央値のほうです。金額は調査年度で動くため、最新値は必ず国土交通省の公表資料で確認してください。

後から直せる後悔と、直せない後悔の違いは何ですか?

この記事では、設備の入れ替えや収納の造作、外構の追加のように工事で対応できるものと、間取り・動線・階段や窓の位置のように構造に関わるものを分けて考えています。『令和5年 住生活総合調査』でも、今後リフォームしたい世帯が住宅の質で重視する点の1位は「広さや間取り」(全世帯17.8%、長子17歳以下の世帯では31.8%)、建て替えで重視する点でも1位が「広さや間取り」(全世帯28.0%、長子17歳以下の世帯では43.3%)でした。間取りは、直したくなったときにいちばん直しにくい部分です。

この記事の数字はどれくらいの規模の調査に基づいていますか?

住宅市場動向調査の注文住宅は全国が対象ですが、令和7年度の回収数は735件です。報告書の標本誤差表は回答比率50%のときn=800で±3.46%、n=600で±4.00%を示しており、735件はその間にあたります。数ポイントの差を断定的に読むべき数字ではありません。住生活総合調査は集計世帯数72,421で規模は大きい一方、住宅全般が対象で注文住宅に絞れません。規模の目安としては住宅金融支援機構『2025年度 フラット35利用者調査』(2026年7月24日公開)が集計35,553件と大きいものの、こちらは母集団がフラット35の利用者に限られます。