家づくり・注文住宅

注文住宅は年収いくらから?平均718.9万円と分布の実態

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「うちの年収で注文住宅は無謀では」という不安に、住宅金融支援機構『2025年度フラット35利用者調査』(2026年7月24日公開・集計35,553件)の分布で答えます。注文住宅の世帯年収は平均718.9万円ですが中央値は603.3万円。700万円未満が62.6%、500万円未満も32.3%います。

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結論

住宅金融支援機構『2025年度 フラット35利用者調査』(2026年7月24日公開)の注文住宅(3,889件)で、世帯年収の平均は718.9万円。ここで多くの人が「うちは無理だ」と思います。でも同じ表の中央値は603.3万円。700万円未満が62.6%、500万円未満も32.3%います。

つまり平均より下の年収で建てている人が6割超。この記事は平均では見えない年収の分布を開いて、「無謀なのか、普通なのか」を自分で測れるようにするものです。ただし「年収◯万円なら建てられる」という基準はありません。返せる額は個々の事情で決まります。

この記事でわかること

実体験メモ

先に立場を書きます。私は土地を購入して積水ハウスで注文住宅を建て、そこに住んでいます。土地探し・資金計画・住宅ローン・引き渡しまで、施主として一通り通過しました。GX志向型住宅の補助金(当時の額で160万円)も受け取っていて、予算の上限に達する直前でぎりぎり通ったという経緯でした。
そのうえで、この記事に私の年収・建設費・借入額・返済額は一切書きません。公開できる形の記録がなく、記憶で書けば必ず盛るからです。年収の話でいちばん人を惑わせるのは、出どころのはっきりしない「うちは◯万円でした」だと思っています。私が書けるのは、一度通った側として「この表はどういう場面のことを言っているか」を補足することだけ。実際に資金計画をしたとき効いたのは、年収の額そのものより、手持金をいくら残すか・土地にいくらかかるか・補助金が下りるかといった年収以外の変数でした。補助金は年度で制度も金額も変わるので、最新は必ず公式で確認してください。

この記事の数字の扱いについて

本文の数値は、すべて住宅金融支援機構が公開している集計表(xlsx)と調査の概要(PDF)を直接開いて集計したものです。口コミやまとめ記事の数字、出典のない「◯%が後悔」の類は使っていません。構成比は件数÷集計件数を小数第1位に丸めているため、合計が100.0%にならない場合があります。そして最も大事なこととして、この記事は「あなたが借りられる/返せる額」を判定するものではありません。返済可能額は収入の安定性・他の借入・教育費・老後の見通しで変わります。具体的な返済計画は、必ず金融機関やファイナンシャルプランナーなどの専門家にご相談ください。

先に読んでほしい、4つの但し書き

ここを飛ばすと、あとの数字を全部読み違えます。

1. 母集団は「フラット35の利用者」であって、住宅を取得した人全体ではない

この調査は、2025年4月から2026年3月までに機構が買取り又は保険付保の承認を行った案件(借換えに係るものを除く)のうち35,553件の集計です。内訳は注文住宅3,889件・土地付注文住宅7,733件・建売住宅8,345件・マンション2,823件・中古戸建7,296件・中古マンション5,467件。全期間固定金利のフラット35を選んだ人の集まりで、変動金利の民間ローン利用者や現金取得者は入っていません。「日本人の平均」ではなく「フラット35で家を建てた人たちの分布」として読んでください。

2. 「注文住宅」の定義が、一般語と違う

これがいちばん誤解されます。調査の用語解説では、こう定義されています。

つまり「注文住宅」は、土地をすでに持っている人・相続した人・建て替えの人が中心の区分です。実際、平均年齢は注文住宅47.8歳、土地付注文住宅40.1歳と7.7歳違います。これから土地から買う人は、原則「土地付注文住宅」を参照先にしてください。

3. 世帯年収は「利用者+収入合算者」の合計

用語解説では、世帯の年収は「利用者及び収入合算者の年間収入の合計で、借入申込時の年間収入額(賞与を含む)」と定義されています。共働きで収入合算していれば2人分。自分ひとりの年収を平均718.9万円と比べると、実態より低く自己評価することになります。

4. 年収倍率と総返済負担率は「平均同士の割り算」ではない

用語解説では、年収倍率は「各利用者の年収倍率(所要資金をその世帯の年収で除した数値)の総和をサンプル数で除したもの」、総返済負担率も同様に「各利用者の総返済負担率の総和をサンプル数で除したもの」と定義されています。

試しに公表値同士を割ると、平均建設費4,259.8万円÷平均世帯年収718.9万円=約5.9倍。しかし公表されている年収倍率の平均は6.9倍で、1倍分ずれます。返済負担率も、平均返済額123.9千円÷(718.9万円÷12=約59.9万円)=約20.7%に対し公表値は23.0%。平均から自分で作った比率と公表値は別物です。

注文住宅の世帯年収、全分布(n=3,889)

第5表「世帯の年収」の全国行を、そのまま開きます。

世帯年収件数構成比累積
100万円未満30.1%0.1%
100〜200万円未満391.0%1.1%
200〜300万円未満1503.9%4.9%
300〜400万円未満3499.0%13.9%
400〜500万円未満71418.4%32.3%
500〜600万円未満65116.7%49.0%
600〜700万円未満52713.6%62.6%
700〜800万円未満39610.2%72.7%
800〜900万円未満3067.9%80.6%
900〜1,000万円未満1834.7%85.3%
1,000〜1,100万円未満1273.3%88.6%
1,100〜1,200万円未満1072.8%91.3%
1,200〜1,300万円未満701.8%93.1%
1,300〜1,400万円未満441.1%94.3%
1,400〜1,500万円未満371.0%95.2%
1,500万円以上1864.8%100.0%

出典:住宅金融支援機構『2025年度 フラット35利用者調査』注文住宅・第5表(全国/3,889件)。構成比は件数÷3,889。

いちばん多いのは400〜500万円未満の18.4%です。平均の718.9万円ではありません。次が500〜600万円未満の16.7%、その次が600〜700万円未満の13.6%。ボリュームゾーンは400万円台から600万円台にあります。

累積では、500万円未満が1,255件・32.3%(およそ3人に1人)、600万円未満が1,906件・49.0%、700万円未満が2,433件・62.6%。平均718.9万円は700〜800万円未満の階級に入るので、その階級より下に62.6%がいる、というのがこの表の言っていることです。

平均718.9万円と中央値603.3万円、差はどこから来るのか

平均と中央値の差は115.6万円。差を作っているのは分布の右側です。1,500万円以上が186件・4.8%、1,000万円以上まで広げると571件・14.7%いて、この人たちが平均を引き上げます。標準偏差も498.5万円と、土地付注文住宅(393.4万円)より100万円以上大きい。年齢の中央値が46歳で24歳以下から65歳以上まで含まれる集団ですから、いろんな年収の人が混ざっていると考えるほうが自然です。右に長い裾を持つ分布では、平均は多数派より高く出ます。自分と比べるなら中央値のほうです。

日本の世帯全体の中で、自分はどこにいるのか

第7表「世帯年収五分位・十分位階級区分」は、この記事でいちばん大事な表です。用語解説によればこの階級区分は総務省「家計調査」によるもので、世帯を年間収入の低い順に並べて5等分したグループを指します。つまり境界線はフラット35利用者の中で引いたものではなく、外から持ってきた物差し。だから各分位に20%ずつ入るとは限りません。

五分位世帯年収の範囲注文住宅の件数構成比
第Ⅰ分位〜335万円2927.5%
第Ⅱ分位336〜479万円80920.8%
第Ⅲ分位480〜647万円1,08728.0%
第Ⅳ分位648〜884万円90423.2%
第Ⅴ分位885万円〜79720.5%

外から持ってきた物差しで20%ずつのはずのグループに、注文住宅の利用者は下2つで7.5%と20.8%しか入っていない。つまり建てている人は、全体としては年収の高いほうに寄っています。ただし同時に、下から2つのグループ(〜479万円)に3.5人に1人(28.3%)が入っているとも言えます。ゼロではないのです。

十分位まで割ると、もう少し細かく自分の位置が見えます。

十分位世帯年収の範囲件数構成比
第Ⅰ分位〜278万円1584.1%
第Ⅱ分位279〜335万円1343.4%
第Ⅲ分位336〜401万円2757.1%
第Ⅳ分位402〜479万円53413.7%
第Ⅴ分位480〜559万円55814.3%
第Ⅵ分位560〜647万円52913.6%
第Ⅶ分位648〜756万円49812.8%
第Ⅷ分位757〜884万円40610.4%
第Ⅸ分位885〜1,114万円3719.5%
第Ⅹ分位1,115万円〜42611.0%

最多は第Ⅴ分位(480〜559万円)の14.3%、次が第Ⅳ分位(402〜479万円)13.7%、第Ⅵ分位(560〜647万円)13.6%。真ん中あたりに山があります。第Ⅲ分位(336〜401万円)にも275件・7.1%が入っています。

この分位表で言えないこと

概要には「年収五分位階級区分とは、総務省『家計調査』によるもの」とありますが、家計調査のどの世帯区分(二人以上世帯・勤労者世帯など)に基づく境界かまでは記載がありません。そのため本記事は境界額そのものの解釈には踏み込まず、「外部の物差しで各分位に何%入るか」という相対的な読み方だけをしています。この分位は年収の位置であって、返済できるかどうかの判定ではありません。

土地から買う人は、こちらを見てください

土地付注文住宅(7,733件)は平均742.2万円・中央値651.8万円で、分布の形も注文住宅とかなり違います。

世帯年収構成比累積注文住宅の累積
400万円未満5.0%5.0%13.9%
400〜500万円未満17.5%22.5%32.3%
500〜600万円未満18.7%41.2%49.0%
600〜700万円未満16.4%57.6%62.6%
700〜800万円未満11.9%69.5%72.7%
800万円以上30.5%100.0%100.0%

400万円未満が5.0%しかいません(注文住宅は13.9%)。五分位でも第Ⅰ分位(〜335万円)は1.9%、第Ⅰ+第Ⅱ分位で18.8%と、注文住宅の28.3%より薄い。土地代が乗るぶん必要な資金が増えるからだと考えるのが自然です。実際、所要資金(建設費+土地取得費)は平均5,312.9万円・中央値4,884万円で、うち土地取得費が平均1,575.3万円。注文住宅のほうは建設費が平均4,259.8万円・中央値3,900万円です。

同じ言葉で検索していても、土地を持っているかどうかで参照すべき表が変わります。建設費そのものの地域差は 注文住宅の建築費ランキング に都道府県別でまとめてあります。

「自分の年収」と「世帯年収」を取り違えない

同じ調査の第6表は「本人の年収」です。世帯年収と並べます。

指標本人の年収世帯の年収差
中央値485.2万円603.3万円118.1万円
平均591.5万円718.9万円127.4万円

利用者本人の年収は、中央値485.2万円。世帯年収の中央値より118.1万円低い。分布で見ると、本人の年収が500万円未満の人が2,036件・52.4%と半数を超えます(400万円未満でも1,305件・33.6%)。「平均718.9万円」を自分ひとりの年収と比べて落ち込んでいたなら、比べる相手を間違えています。

職業の内訳(第3表)は会社員52.5%・自営業26.8%・公務員7.7%・年金受給者5.1%・パートアルバイト4.9%。会社員だけの調査ではありません。

年収以外の物差し:倍率・返済負担率・手持金

年収そのものより、「その年収でいくら借りているか」のほうが位置を測りやすい場面もあります。

建設費の年収倍率(第14表)

指標注文住宅土地付注文住宅
平均6.9倍7.8倍
中央値6.5倍7.6倍
5倍未満の割合26.4%11.0%
7倍以上の割合43.0%61.0%
11倍以上の割合6.2%6.1%

※注文住宅は建設費÷世帯年収、土地付注文住宅は所要資金(建設費+土地取得費)÷世帯年収で、対象が違います。

よく言われる「年収の5〜7倍」に対して、注文住宅で5倍未満は26.4%、7倍以上が43.0%。土地付注文住宅は7倍以上が61.0%。この調査の中では、倍率5倍台は少数派ということになります。

総返済負担率(第23表)

総返済負担率は、1か月当たり予定返済額を世帯の月収(世帯年収の1/12)で割った値。税引き前の収入に対する割合で、手取りに対する割合ではありません。

総返済負担率注文住宅土地付注文住宅
20%未満34.8%17.5%
20〜25%未満22.5%20.8%
25〜30%未満25.9%28.3%
30%以上16.7%33.3%
平均/中央値23.0%/23.5%26.4%/27.1%

注文住宅では25%以上が42.6%、土地付注文住宅では61.7%。この率は期間・金利タイプ・手取り率で意味が変わりますが、分布の位置は把握しておく価値があります。借入額の考え方は 住宅ローンの借入額は年収の何倍? にまとめました。

手持金(第17表)

手持金(自己資金)の分布はもっと極端です。注文住宅は「なし」が487件・12.5%で中央値463万円(平均839.8万円)、土地付注文住宅は「なし」が1,636件・21.2%で中央値119万円(平均481.1万円)。年収が同じでも、手持金がいくらあるかで組める計画は変わります。年収の一点だけで自分を評価しても、判断材料の半分も見ていません。

この記事で断定していないこと

まとめ

年収の位置がつかめたら、次は総額の組み立てです。何にいくらかかるかは 注文住宅の予算の決め方、建物の相場は 注文住宅の建築費ランキング、借入額の考え方は 住宅ローンの借入額は年収の何倍? に分けてあります。

出典(いずれも2026年8月時点で原本を開いて確認)

※構成比・累積は上記xlsxの件数を集計件数で割り小数第1位に丸めた値です。統計は年度ごとに更新されるため、最新値は必ず住宅金融支援機構の公式ページでご確認ください。住宅ローンの金利・審査条件、補助金の制度や金額は年度・個別条件で変わります。判断が必要な場面では金融機関や専門家にご相談ください。

関連記事:注文住宅の予算の決め方/注文住宅の建築費ランキング/住宅ローンの借入額は年収の何倍?/注文住宅の後悔は本当に多い?。カテゴリ一覧は 家づくり・住まい へ。

よくある質問(FAQ)

注文住宅を建てた人の年収はいくらですか?

住宅金融支援機構『2025年度 フラット35利用者調査』(2026年7月24日公開)の注文住宅(集計3,889件)では、世帯年収の平均は718.9万円、中央値は603.3万円でした。平均と中央値に115.6万円の差があるのは、年収1,500万円以上の人が4.8%含まれていて平均を押し上げているためです。多くの人の実感に近いのは中央値のほうです。なお、これはフラット35を利用した人のデータで、住宅を取得した人全体の平均ではありません。

年収500万円で注文住宅は無謀ですか?

無謀かどうかを年収だけで判定できる基準はありません。事実として、同じ調査の注文住宅では世帯年収500万円未満が1,255件・32.3%を占め、400万円未満も13.9%います。つまり3人に1人は世帯年収500万円未満で建てています。ただしこれは「建てた人がいる」という事実であって、あなたが無理なく返せるという意味ではありません。返済可能額は手持金・他の借入・家族構成・将来の支出で変わるため、具体的な返済計画は金融機関やファイナンシャルプランナーにご相談ください。

調査でいう「注文住宅」と「土地付注文住宅」は何が違いますか?

フラット35での借入の範囲による区分です。「注文住宅」は建設費をフラット35で借り入れ、土地取得費はフラット35で借り入れていないもの(土地をすでに持っている、相続した、フラット35以外で土地を買ったなどを含む)。「土地付注文住宅」は建設費と土地取得費のどちらもフラット35で借り入れているものです。世帯年収の平均は注文住宅718.9万円・土地付注文住宅742.2万円、平均年齢は47.8歳と40.1歳で、性格の違う集団です。土地から買う人は「土地付注文住宅」のほうを見てください。

調査の世帯年収は自分ひとりの年収のことですか?

違います。調査の用語解説では、世帯の年収は「利用者及び収入合算者の年間収入の合計で、借入申込時の年間収入額(賞与を含む)」と定義されています。共働きで収入合算した場合は2人分の合計です。参考に、同じ調査の第6表「本人の年収」を見ると、注文住宅の利用者本人の年収は中央値485.2万円・平均591.5万円で、世帯年収の中央値603.3万円より118.1万円低くなっています。自分の年収だけを平均718.9万円と比べると、実態より低く見積もることになります。

年収倍率や返済負担率は、自分の位置を測る目安になりますか?

目安のひとつにはなります。注文住宅では建設費の年収倍率が平均6.9倍・中央値6.5倍、総返済負担率が平均23.0%・中央値23.5%でした。ただし総返済負担率は税引き前の世帯月収に対する割合で、手取りに対する割合ではありません。また調査の年収倍率・返済負担率は「各利用者の値の総和÷サンプル数」で算出されており、平均建設費÷平均年収とは一致しません(実際、4,259.8万円÷718.9万円は約5.9倍で、公表値6.9倍とずれます)。数字の意味を取り違えないよう注意してください。